第4回 内装工事業者と工務店の違い


もし店舗を開業したい、ちょっとした改修工事をしたい場合、あなたは内装工事業者と工務店のどちらを選びますか?

まずは近くの良さそうな工務店をネットで調べたり、すでに知識がある方はネットで内装工事業者(長いので以下「内装屋」と呼びます)を調べるのではないでしょうか。

確かに両方とも仕上げ工事ができるので同じようなものと思われるかもしれませんが、これら2つの業者は種類が全く異なります。

端的に言うと、工務店は住宅づくりのプロで、内装屋は店舗づくりのプロです。

そして、結論から言うと、店舗づくりであれば内装屋に頼むことをおすすめします。と言うと、ただのポジショントークのように聞こえそうなので、以下理由を説明しますね。

内装屋に頼んだ方が良い理由

まず、住宅と店舗の大きな違いは何でしょうか。

それは、「建物の利用者」です。

住宅の場合、その住宅を利用する人は主に居住者です。なので、基本的には居住者がその住宅を利用することを想定して設計・デザイン・工事をします。これらは使う仕上げ材、デザイン、設計、使い勝手など、多くの要素に影響します。

他方、店舗の場合、その店舗を利用する人は不特定多数の老若男女です。つまり、住宅との大きな違いは、他人が使うことを想定して設計・デザイン・工事をすることになります。

例えば、もし車いす利用者も入れる店舗にしたい場合、店舗の中には2cmを超える段差を作ってはいけません。車いす利用者がスムーズに移動できないためです。

また、住宅であれば壁の仕上げ材にクロス(壁紙)を使うことが多いですが、店舗だと不特定多数の方が利用するため、お客さんが不意にクロスを傷つけてしまうおそれがあり、また、配膳用のカートを使う店舗であれば、カートの角があたってクロスを傷つけることがあるので、壁の腰から下には固いベニヤ板の仕上げ材を使うことが多いです。

このように、利用者が異なるため設計・デザイン・工事の考え方が両者では根本的に異なります。

以上のことを踏まえると、店舗づくりの場合には内装屋に頼む方がベターといえるでしょう。

では、店舗の場合は必ず内装屋に頼むべきでしょうか。

いいえ、実際にはそんなこともありません。例外的に頼んでも大丈夫なケースもあるので、説明します。

工務店に頼んでも大丈夫なケース

1つ目の例外的なケースは、もともとその工務店を知っていて信頼できる場合です。

住宅に特化した工務店であれば、店舗づくりの経験がない限り、店舗づくりのノウハウはあまりないかと思います。もちろん逆も然りです。

しかし、その工務店の仕事ぶりがとても良くかなり信頼している場合には、そこに頼むのもありかと思います。

つまり、ノウハウがあまりないというデメリットを、信頼が高いというメリットが超えている場合です。

店舗づくりのノウハウがなくても、一応見よう見まねで店舗は作れないこともないです。しかし、これは客席づくりについてのみ言えることです。厨房の設計・工事は専門知識が必要なので、ここに関しては他のプロを入れるなり厨房メーカーに設計・アドバイスしてもらうなりして、補完する必要があります。

2つ目の例外的なケースは、その工務店のデザインセンスが気に入っている場合です。

デザインセンスというのは唯一無二のものです。例えば、アットホームな雰囲気の店舗や、古民家風のカフェを作りたい場合に、それと工務店のデザインセンスがハマれば工務店に依頼するというのもありだと思います。

ですが、これも店舗づくりのノウハウのない工務店の場合には、別途で店舗づくりのプロに設計してもらうとか、コンサルタントとして入ってもらうなどはした方が良いかと思います。特に厨房部分です。

終わりに

いかがでしたでしょうか。

今回は内装屋と工務店の違いについて説明しました。

みなさまが工事業者を探す・選ぶ際に参考になれば幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。


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