第5回 飲食店の開業(工事)費用を安く抑える方法


飲食店を開業するにあたり、おそらくいちばん費用がかかるのが「工事費用」だと思います。その理由の1つが、飲食店は他の用途の建物、例えば住宅や事務所とは異なり、設備にかかる費用が大きいことが挙げられます。空調設備、厨房設備、換気設備、給排水設備、ガス設備、電気設備といった各種の設備は、一般的な住宅に求められる設備よりもグレードの高いものとなります。他にも、内装仕上げに使う材料も住宅や事務所と異なり、より装飾的なものが多く、また、飲食店であれば外装や看板にも費用がかかるため、結果的に工事費用は飲食店開業において最も大きなウエイトを占めることになります。

では、その工事費用を安く抑える方法を以下でご紹介します。わりと当たり前の方法ばかりかと思いますが、各方法のメリット・デメリットをご説明しますので、ぜひご参考にして見てください。

1. 居抜き物件を探す

居抜き物件とは簡単に言うと、前に入っていた人が解体工事をせずそのまま出て行った物件のことをいいます。

メリット

居抜き物件は、同じ業種であれば内装や設備をある程度そのまま使えることが結構あります。

特にラーメン屋などは、客席のバリエーションもそこまで多くないし、どの店舗も同じような厨房設備を使うことが多いので、わりとそのまま使えることが多いかと思います。

特に厨房設備をそのまま使えることができれば、工事費用を安く抑えることができるでしょう。

デメリット

しかし、実際には残置された内装や設備というのは状態が悪いことが多いです。状態が綺麗でわりと新しければ、前の借主は椅子やテーブルといった家具や厨房機器をどこかで売却しているはずですし、売却できずに残置したものは長い間そのまま店に放置されていることが多いので、状態が悪いことが多いです。

また、居抜き物件をそのまま使うと、新しくお店を開業してもお客さんに新しい・オリジナリティのあるイメージを持ってもらうことが少し難しいかもしれません。

そして、古い設備はメンテナンス費用が大きくかかるだけでなく、そもそも古すぎて部品交換ができない場合もあります。その場合は新規で入れ替えることが必要になります。

2. 分離発注する

分離発注とは何かについては、こちらの記事をご参照ください。

メリット

こちらは説明不要かと思いますが、一括請負をうけた業者がまとめて他の業者や職人さんたちを手配するよりも、お客さんが一括発注しないで、分けて業者と直で契約した方が安く済むという話です。

デメリット

分離発注最大のデメリットは、工事をまとめるのが大変ということです。

一括請負をする元請け業者は、他の業者や職人さんたちをまとめ、工程を管理するプロです。これらを経験のないお客さんが行うのは大変を通り越してほぼ不可能かと思います。

ですが、賢く多少の分離発注を行うのはありだと思います。

例えば、看板の分離発注や、置くだけの家具を分離発注するくらいでしたらありかと思います。とはいえ、看板であってもネオン看板であれば電気工事が絡みますし、家具でもいつ設置するかは工程に強く影響するので、現場監督と密にコミュニケーションをとる必要があります。

3. 相見積もりを取る

相見積もりとは、いくつかの業者から見積もりを取ることです。通常は価格と内容等を総合的に加味し、どの業者がいいかを決めます。

メリット

いくつかの業者の見積書をテーブルの上に並べることで、いちばん安い業者を選ぶことができるのは最大のメリットといえるでしょう。場合によっては数百万円の差異があることも少なくないです。

デメリット

確かに相見積もりを取ることで業者の選択肢は広がりますが、複数の業者に見積もり依頼をするので時間と手間がかかります。

Aという業者に工事の内容やイメージを伝えたあと、またBという業者に同じことをしなければならないので、とにかく時間と手間がかかります。打ち合わせ時間を十分にとれる方はやってみてもいいかと思います。

また、相見積もりは基本的に値段の叩き合いになることが多いので、やりすぎると業者の担当者との信頼関係にひびが入ることもあり得ます。相見積もりをする場合はほどほどにした方がいいでしょう。

4. リースを上手く使う

リースとは、リース会社が設備機器を買い取り、それを長期間にわたり賃貸することをいいます。つまり、設備機器の所有権をリース会社が保有し、それをリース申込者が一定期間借りて、使用することをいいます。通常月額〇〇万円という形で契約します。

メリット

1つ目のメリットは「初期費用」を大きく抑えられる点が挙げられます。

2つ目のメリットは毎月支払う金額は「経費で落ちる」点が挙げられます。

デメリット

リース契約には当然手数料が発生するので、長期で見れば直接購入するよりも支払う金額は多くなります。

また、中途解約は違約金の支払い義務が生じますし、支払いが満期になった後でも所有権はリース会社にあるので、勝手に継続して使用することはできません。通常は返却(引き取り処分や廃棄)か再リースをすることになります。再リース料は購入価格の1/10程度になり、1年ごとに更新となります。当然、リース期間中に設備や機器を勝手に売却したり廃棄処分することはできません。

終わりに

いかがでしたでしょうか。

どの方法も知っていることの方が多かったかもしれませんが、今回は各方法のメリットとデメリットを紹介させて頂きました。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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