飲食店を開業するためには様々な費用がかかりますが、その中でも最も費用がかかるのは「工事費」です。土地を購入して新築で飲食事業を始める場合には、土地の取得費用がかかりますが、その場合でも工事費の方が高額になるケースがほとんどかと思います。
今回は、これから飲食店を開業しようとする方たちがその工事費の見積もりを業者からとるさいに、気を付けるべきこと、準備しておいた方がいいこと、どのように見積りをとった方がいいかなどについて説明していきたいと思います。
Contents
見積りを依頼する際に準備しておいた方がいいこと
工事費用の見積もりを依頼する前に、まず工事を請け負ってくれる業者を探さなければなりません。業者を探す方法については「第1回【内装工事業者の選び方①】業者をどのように探すか」にまとめてありますので、ぜひ一読してみて下さい。
また、探した業者の中からどのようにして最適な業者を選ぶかについても「第2回【内装工事業者の選び方②】探した業者の中からどのように選ぶか」にまとめてありますので、ぜひ読んでみて下さい。
① 予算感
まずは業者の担当者と会う前に、何となくでいいのでおおまかな予算感は持っておいた方が良いかと思います。
予算感については、様々な方法で身に着けることができます。例えば、内装デザインの雑誌に載っている施工事例などの工事費を見れば、工事の規模や内装の装飾に応じたおよその予算感が身につきますし、飲食店を経営している知り合いに開業時にかかった工事費用を聞いてみるのも良いかと思います。予算感はだいたいで構いません。500万円なのか、1000万円なのか、2000万円なのか、くらいで十分です。工事費用というのは様々な種類の工事が含まれており、かかわる職人さんの種類と数も多いため、工事費用の総額というのは得てして高くなりがちです。業者から最初に見積りをもらったときに面食らわないためにも、およその予算感を持つことはとても重要なのです。
② デザイン感
飲食店を始めようとするほとんどの方はすでにこれから自分が持つお店のデザイン感をすでにお持ちかと思います。
さらにそれを具体化するために、業者の担当者に内装デザインの雑誌に掲載されている写真や、ネットで拾った写真を見せると、担当者とデザインのイメージを共有することができます。
担当者からすると、初見ではこういった情報がないとお客様は「何色が好きなのか」「暗めのお店が好きなのか」「明るいお店が好きなのか」「すっきりしたデザインが好きなのか」について全くわかりません。上記のような写真まで用意することはマストではありませんが、頭の中に描いているイメージを担当者に伝えることはとても重要です。
ですが、あまり華美なデザインや装飾がされた内装の写真を見せると、当然担当者から出てくる見積りは高くなります。言い方はよくありませんが、内装というのはお金をかければかけるほど洗練されていくという事実はあります。あくまで予算感を頭の片隅にいれておきながら、担当者に自分が持っている内装のイメージを伝えるようにしましょう。
見積りをとる際のご提案!
見積りの取り方は主に次の2パターンになるかと思います。1つ目は「要望を全て詰め込み、打ち合わせを通して減額していく方法」、2つ目は「必要最低限の要望を入れ、打ち合わせを通して増額していく方法」です。
①「要望を全て詰め込み、打ち合わせを通して減額していく方法」
おそらくこの方法が最も多いかと思います。とりあえず自分がやりたいことを全部見積りに入れてもらい、後から打ち合わせを通して金額を削っていく・やりたいことを妥協して諦めていく方法です。確かに、これだと自分の本当の要望がいったいいくらかかるのかが明確にわかるので、ほとんどのお客様はこの方法をとります。ほぼ全員と言っていいかと思います。自分の要望を全て叶えたいというのは人間の性です。このようにしたいお気持ちも十分にわかります。
ですが、結論からいうと、実際には打ち合わせを通して劇的に金額が下がることはほとんどありません。しかも、お客様は自分の要望を諦めているので、気持ち的には二重の意味でショックを受ける場合がほとんどです(お客様の表情からそのように感じます)。
確かに、担当者も金額が下がるように頑張ってくれるのですが、工事金額というのはもともと額が大きいので、数万円~数十万円コストカットできてもあまり下がった感じがしないのです。しかも、妥協して自分の要望を諦めているので、お客様の表情は曇るばかりです。
そこで、私がおすすめしたいのがもう1つの方法です。
②「必要最低限の要望を入れ、打ち合わせを通して増額していく方法」
この方法をお客様の方から自発的にとるケースはほとんどないかと思います。やはり自分の要望を全て叶えるためにはいったいいくらかかるかを知っておきたいからでしょう。
そのお気持ちもわかりますが、私はこの方法をあえてお勧めします。
理由は単純で、まず最低限かかる工事費用を把握し、それだけの費用はかかるという覚悟が生まれるからです。
もし担当者からもらった見積書の金額が思ったよりも安ければ、予算が許す限りで自分の要望を1つずつ追加して増額していく方が、1つ目の方法よりもお客様の精神衛生的にずっと良いかと思います。
「まだ予算があるから仕上げ材をこっちにしよう」「看板をもっと大きくしてライトアップしてみよう」など、ポジティブに開業準備が進んでいきます。これが逆だとどうでしょうか?「予算がないから仕上げ材を安いこっちにしよう」「看板を小さくして、ライトアップをやめよう」といった、ネガティブな開業準備になってしまいます。しかも先述したように、金額が下がってもさほど下がった感じはしませんし、自分の要望を諦めているので、二重のショックを受けることになります。
実際には、業者側も売り上げがほしいので、こっちのパターンで見積り提案をしてくることはほとんどないかと思います。できるだけ高い見積りを出して契約したいというのが本音です。
ですが、私は、「必要最低限の要望を入れ、打ち合わせを通して増額していく方法」をあえてお勧めします。お客様が少しでもポジティブな気持ちで開業準備をすることができるからです。
終わりに
いかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。