今東京を中心に、おにぎり専門店が流行っているのをご存知でしょうか。
数年前から駅のコンコードやデパ地下などでおにぎり専門店はありましたが、現在ではそれらの場所にとどまらず、外に店舗を構えて出店したり、キッチンカーとして出店しているおにぎり専門店が増えてきています。
おにぎり専門店が最近流行している背景には、いくつかのトレンドや消費者ニーズの変化が関係しています。
以下では、おにぎり専門店が流行している要因を考察し、それらからどのようなことが学べるかを考えてみたいと思います。
Contents
1. シンプルで健康的な食事への関心
おにぎりはシンプルな素材で作られ、食材の選び方によっては非常に健康的です。最近の健康志向の高まりや「シンプルで体に優しい食べ物」を求める消費者が増えているため、おにぎり専門店の人気が高まっています。特に、無添加やオーガニックの材料を使ったものや、低カロリー・高タンパクなおにぎりは、健康志向の人々に支持されています。
全てのメニューをこのような健康志向の人々が好むようなものに変えることは難しいかもしれませんが、既存のメニューに健康志向の人々向けのものを加えると、新たな層のお客さんを呼び込む一つの方法になり得るかと多います。
2. 手軽さと利便性
おにぎりは、持ち運びしやすく、手軽に食べられるため、忙しい現代人にとって非常に便利な食事です。朝食や昼食、ちょっとした軽食としても適しており、食べやすさや手軽さを求める層からのニーズに応えています。また、テイクアウト文化の広がりと相まって、忙しい日常の中でも手軽に栄養を摂れる食事として注目を集めています。
今までおにぎりといえば「コンビニ」でした。手軽に、また安価に昼ごはんを済ませたい人々にとっておにぎりやサンドイッチはとても利便性の高い商品でした。ですが、もし、コンビニおにぎりとおにぎり専門店のおにぎりがほぼ同じ価格帯だったら、お客さんはどっちのおにぎりを選ぶでしょうか?ほとんどのお客さんはおにぎり専門店のおにぎりを選ぶと思います。個性的で、手作り感があり、できたてのイメージがあるからです。
このように、人々がコンビニで何となく便利だからという理由で買っているものに目をつけて、それをお店のメニューに加えると、今までコンビニに行っていた人々をお店に呼び込むことができるでしょう。
3. 多様なバリエーションの提供
おにぎり専門店では、従来の定番具材(鮭、梅干し、昆布など)に加え、新しい具材や食材の組み合わせを楽しめる点も魅力です。例えば、洋風やアジア風の具材を使ったおにぎり、高級食材を使ったもの、ビーガン向けのオプションなど、個性的なバリエーションがあるため、飽きることなくリピートされやすいです。これにより、幅広い層の消費者にアピールできています。
これは、業態によってはすでに行なっているお店もあれば、取り入れることが難しいお店もあるかと思います。無理に取り入れれば仕入れコストが高くなるばかりでなく、ロスがでる可能性もあるので、慎重に考えて取り入れるかを判断したいところです。
4. 「日本らしさ」の再評価
おにぎりは、日本の伝統的な食文化の象徴でもあります。日本人が自国の文化や伝統を再評価する動きが近年強まり、特に和食の価値が見直される中で、おにぎりも注目されています。さらに、外国人観光客や日本文化に関心のある人々にも、「日本らしさ」を感じられる食品として好まれています。
他にはどのような「日本らしい」メニューがあるでしょうか?私が思いついたのは「焼き鳥」「肉じゃが」「味噌汁」などです。これらは簡単にメニューに取り入れることができ、しかも外国人観光客のほとんどが好きなメニューです。海外では食べることができない「本物」の日本料理を少しメニューに入れるだけで、新たな集客効果が見込めるでしょう。
まだ十分に評価されていない日本食はたくさんあるはずです。そのような日本食を探して、ぜひメニューに取り入れてみてください。
5. 専門性への関心の高まり
特定の食品に特化した「専門店」がトレンドになっていることも要因の一つです。近年、ラーメン専門店やパン専門店など、1つの食品にこだわりを持った店舗が増加しており、その中でおにぎり専門店も人気を集めています。専門店ならではのこだわりや品質の高さが消費者にとって魅力となり、信頼されやすいのです。
正直これは少し諸刃の剣です。食のブームというのは一度加熱すると人々の関心を集め、市場は右肩上がりに拡大していきますが、人々が飽きると市場は少しずつ縮小し、人気が低いお店は次第に淘汰されていきます。
ブームに乗っかることも大事ですが、ブームが去っても持続できるよう工夫したり、撤退戦略もあわせて考えるのも重要になってきます。
6. コロナ禍による個食の普及
コロナ禍の影響で、個別に包装された食品や持ち帰りが可能な食品へのニーズが高まりました。おにぎりは一人分ずつ個包装され、衛生的で持ち帰りもしやすい食品として、需要が高まりました。コロナ禍以降の「個食」や「テイクアウト文化」の普及も、おにぎり専門店の成長を後押ししています。
終わりに
これらの理由が組み合わさり、おにぎり専門店の人気が高まっていると考えられます。シンプルでありながら多様なニーズに応えることができる点が、大きな成功要因となっています。
これらの成功要因をぜひ今後の経営戦略を考える際や、新しくお店を出店する際に参考にしてみて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。